一行のコードも書けない人が、ITのサービス開発を行い、生計を立てていたらどう思いますか?
決済導入支援サービス『Apps』を個人で開発し、流通総額50億円超え(2025年8月現在)という驚異的な数字を叩き出したのが、株式会社アップス代表の中井さん(SaaS飯さん)です。
驚くべきことに、SaaS飯さんはエンジニアではありません。専門知識がなければ、ITのサービス開発は不可能という常識を打ち破りました。
ユニークな経歴を持つSaaS飯さんは、どのようにしてAppsを成長させたのか。本記事では、AI時代における新しい働き方『Don’t Work!』という思想に至った想いに迫ります。

SaaSとは?
Software as a Serviceの略。インターネット経由で利用するソフトウェアのこと。
記事監修者

さとちん
- X(Twitter)運用オンラインサロン「ちんサロ」主催
- Xフォロワー数:6万人
- Threadsフォロワー数:2,000人
- Voicyフォロワー数:3,700人
- 本業:SNSマーケター管理職
- 大学のSNS特別講師担当
- サンクチュアリ出版と正式コラボ
- sales force社にブログで紹介
- SNS Campus(エスキャン)X講座担当
※Xでも有益情報発信中
「Apps」誕生とX(旧Twitter)を始めたきっかけ

──どのような流れで「Apps」が誕生したのですか?
若い頃から『2ちゃんねる』や『価格.com』のような個人開発のプロダクトに強い憧れを抱いていました。
Apps開発のきっかけは、大学のサークル仲間でもある顧問税理士からの相談です。コロナ禍で顧問料の未払いが増え、クレジットカード決済の導入を検討していたものの、どうすれば良いか悩んでいました。
私は「あえてエンジニアにならない」選択をしていたので、自分のスキルをエンジニアリング以外の領域で磨くべきだと考えていたんです。そこで自分では開発せずに外注し、Appsを誕生させました。
この経験が、個人開発SaaSの原型となっています。
──X(旧Twitter)は「Apps」を広める目的で始めたのですか?
はい。当初Appsは、身内向けに使っていただいていました。利用者から機能の追加・改善要望をいただくなかで「一般公開したら絶対売れる」とおすすめされたんです。
しかし、半信半疑だったので、テストマーケティングを実施。すると、確かな需要があることが分かったんです。
その際、まわりから「サービスを広めるならX(当時Twitter)が良い」とアドバイスをもらい、アカウントを作りました。
「さとちん」さん、「ちんサロ」との出会い

──さとちんさんに出会ったきっかけを教えてください。
2021年11月にX(当時Twitter)を始めました。当時は宣伝のツイートばかりだったので、Appsに関する問い合わせは、一件もありませんでした。
状況を打開するため、さまざまX(当時Twitter)運用のプロに相談するなかで、ある仮説にたどり着いたんです。
「ビジネスインフルエンサー」こそが、Appsを欲しがっている潜在顧客なのではないかと。
その仮説を検証するために、ビジネスインフルエンサーが集まるオンラインサロン『ちんサロ』に入会したんです。
サロンのオーナーである「さとちん」さんに直接アプローチするため、積極的にツイート大会や添削イベントに参加しました。
そして、ツイート添削のイベントで、意図的にAppsの宣伝ツイートを選びました。添削を受けたことで、さとちんさんにAppsの存在を認知させることに成功したんです。
──それが、流通総額50億円への足がかりとなったのですか?
そのとおりです。最大のきっかけは、さとちんさんが『ちんサロ』の決済システムにAppsを採用していただいたことです。
偶然にも『ちんサロ』の決済導入を検討していたタイミングと合ったんです。これがAppsの信頼性を一気に高め、広まる最大の要因になりました。
『ちんサロ』の導入をきっかけに、さとちんさんからの紹介や紹介プログラムを通じて利用者が拡大し、現在の流通総額50億円超えという結果に繋がっています。

Appsが広まった理由を詳しく知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。
X(旧Twitter)を伸ばすコツ


──フォロワーが伸びたきっかけを教えてください。
アカウント名を『SaaS飯』に変えたことです。
当初、Appsを売り込むことが目的だったので、他のユーザーとの交流はほとんど行っていませんでした。
しかし、ある課題から、発信軸を変えたんです。
Appsは特定のエンジニアに開発を依存しており、その方がいなくなるとサービスが停止してしまう『負け筋』、つまり、リスクを抱えていました。
しかし、非エンジニアの私は、技術的な会話に入れない。この課題を解決するには、エンジニアの方々と繋がる必要性を感じたのです。
エンジニアに興味を持ってもらうために、発信軸を「サービスの宣伝」から「個人開発SaaSで生計を立てている人」という未来像の提示へと変えました。
Appsがどう成長したのか・プロダクトのプロモーション方法など、個人開発に興味を持つエンジニアにとって有益な情報発信へと発信軸を変えたんです。
名前と発信軸を変えたことで、3ヶ月でフォロワーが2,000人から7,000人へと5,000人も増えました。
さらにDMで「一緒に仕事がしたい」というエンジニアの方からの連絡も増えたんです。今は、何か困ったことがあれば助けてくれる仲間ができて「エンジニアと繋がる」目的も達成できました。
今後の目標:「Don’t Work!(働くな、没頭しろ)」思想


──今後の目標について教えてください。
これからの時代は『思想』が重要です。
AIの進化により、SaaSを含め多くの仕事が代替されると言われ、思想がないプロダクトは生き残れないと考えています。
そこで、私の思想を言語化したものが『Don’t Work!(働くな、没頭しろ)』です。
これは怠けることを推奨しているのではありません。
「働かされる」という義務感から脱却し、好きな物事や得意な分野に「没頭」する。そうした活動を通じて、人生の主導権を取り戻すための新しい働き方・生き方の思想です。
Appsも『Don’t Work!』の思想を実現するための道具の一つに過ぎません。
今後の目標は『Don’t Work!』の思想が広まることです。すでにこの思想に共感する仲間たちとのイベントも開催しており、今後も活動の輪を全国に広げていきたいです。



SaaS飯さんの思想『Don’t Work!』について詳しく知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。
さいごに:X(旧Twitter)を伸ばしたい人へのアドバイス
最も大切なのは「ターゲット(ペルソナ)にとって何が有益か」を軸に発信することです。
今は、AIを使えば誰でも有益な情報自体は発信できる時代。単なる情報発信だけでは不十分です。
では、何が差別化の鍵となるのか。
それは「自身の経験」や「オリジナリティ」です。
たとえば、AIが提案する一般的なノウハウに、自身のAppsの成長エピソードを交えた内容にする。そうすることで、その人にしか語れない独自のコンテンツとなり、ユーザーに「この人の発信はずっと見たい」と思わせることができます。
Xを伸ばしたい人は、誰でもできる内容よりも、自分自身にしかできない内容を加えるのがおすすめです。
以上。
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